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平成十九年三月十三日開設。つまらんことしか書いてないです。 YAHOOなどの検索サイトから誤って来られた方は、申し訳ないですがブラウザバックでお戻りください。 キタユメ。様とは無関係です。二次創作やってます。
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この前久しぶりにCD借りた。LOVE PSYCHEDELICO、木村カエラ、椎名林檎、YUKI、あとお使いで買ってきたYUIのROLLING STAR。BLEACHのOPだったやつだよ。見事に女性アーティストばかりだ・・・。ちなみに私のパソコンは「じょせい」って打ったら女性より前に徐盛がでるよ。いまはカエラさん聞いてます。

学校に小説投稿してきたよ!こっぱずかしくて、何だかな~って感じなんですけど。一個のっけときますね。暇なときにでも読んで。趣味全開でついていけないと思うけど。PNは慶景です。福岡の文化祭きて本もらって探してね!ちなみに「よしかげ」とかそんな読み方はしません。「けいけい」です。K.Kって感じで読んでください。某王子様に出てくるマムシのイニシャルだったりします。本当に好きすぎてやばいよ。犬養、犬飼、乾海!

主人公は「くじゃく」、もう一人は「まだら」です。長野全開ですよ。後ろに注釈つけてます。

Eoanthropus                      
 
綺麗に刈り込まれた樹木の茂る庭園に、白く光る小さな硝子机が一脚置かれている。周りは飾り気こそ無いものの、一種独特の安定感に包まれている。硝子机には模様が彫られていて、解読不可能な文字と曲線が奇妙な反射を演出している。それは孔雀にとって見慣れた光景であったけれど、それでも机の下に手を回し自分の手が斑模様に成るのを試さずにはいられなかった。孔雀は机と揃いの硝子椅子を静かに引くと頬杖をついて、今日顕微鏡で見ようと思っている鳥の羽根や鉱物のことを考えていた。

 「お待たせ」
斑はそれだけ言うと、丁寧にレエス模様のコウスタアを敷くと、レモン水の入ったグラスを上に置いた。孔雀は、渡されたストロをグラスに入れる。パキパキと氷が鳴り、キュルキュルと水が泣く。口に含んだとたん消えてしまうその味は、孔雀を夢中にさせるには十分だった。
「今日は随分時間が掛かったね」
「何故かストロが見つから無くってね。レモン水でなければそのまま飲んでも好いのだけれど、これぢゃそうもいかないからね」
「僕はストロなんか無くったって、構わなかったのに」
「でも、レモン水ってそういうものだろ」
 
 斑は孔雀と同級で、組の中でも飛び抜けて地位のある少年だ。頭も運動も何処を取っても言うこと無しな上に、彼の髪は艶やかな黒色だった。癖の無い髪を中途半端な長さで切って、毛先は整えすぎない程度に揃っている。組の男子は挙って彼の真似をしたが、結局皆無残な結果に終わっていた。一時期、組の中でまともな髪型をしていたのは斑と孔雀だけだった。といっても孔雀に斑のような髪型が似合っていた訳ではない。孔雀は最初から斑の真似をしていなかったのだ。正確に言えば、孔雀には斑の髪型を真似する権限がない。学校という閉鎖的空間にはよくあることで、一人の生贄を作ることは正常と言っても良いくらいだ。孔雀はそのこと特に気に留めてはいない。今彼の関心にあるのは妬み半分にざくりと切られた前髪の不恰好さを、どのようにして隠そうかということだけだった。
 
 斑との間には友情なんていう可愛いものは無くて、唯斑の気紛れで続いている拘束だけがあった。斑は素直で純真そうな顔をしているが、その実厄介な性格をしていた。彼は人を振り回すのが好きなのだ。いつだったか、彼は学生服に趣味の悪い匂いの強い香水をつけて学校に来た。その日一日教室の中の何処にいてもその匂いがした。また彼の悪戯かと呆れていたが、次の日はそれを通り越して感心してしまった。御他聞に漏れず孔雀を除いた組の男子全員が、昨日の斑と全く同じ匂いをさせて登校してきたのだ。その頃には斑は香水を落としていて、匂いのしない学生服を着て自分がしたことを満足そうに確認していた。彼も彼だが、組の奴らも選択できる立場にいるのだから、少しは考えることをするべきだ。それぢゃ斑から永遠に遊ばれる破目になる。

 「顕微鏡は何処に仕舞ってあるんだい」
「僕の部屋さ。でもちょっと待って、レモン水は冷えてる時が一番美味しいからね、飲み干してから行くさ」
孔雀はとうの昔に空になったグラスを凝っと見つめる。水が少しずつ体積を広げていく。
 
「時々、女子はスカアトを纏っているから女子なのだと思ってしまうことが無いかい」
「無いよ。斑は全てに対して懐疑的過ぎるんだ。何ならスカアトを一度穿いてみると良い。きっと女子にはならないさ」
「・・・残念ながら、僕にエオニズムの趣味は無いんだ。それにあんなラメラのスカアトを穿いている彼女達の気が知れないね」
「あれは強制されてるのさ。大方お偉方にそういうフェチズムがあるんだよ。でなきゃ説明がつかない」
「そうかもしれないね。僕らの学校の校長なんか正にそんな感じだもの」
 
 「孔雀は如何して周りに対してそう無頓着になれるんだい」
「僕は執着しているよ。いつものように、いつもと変わらないように日常を続けることに関しては」
「それって楽しい」
「変わらずにいようとする程急激に変化するのさ」
「僕はいつも退屈だよ。あいつらは僕の言ったことしか出来ないし」
「君に言われちゃ御終いだな」
「僕の知ったことぢゃ無いよ」
 
数日後、孔雀はいつも通り最後に教室を出た、というよりも孔雀はずっと鍵係なので皆より先に帰ることが出来ないだけだ。朝も誰よりも早く来なければならない。孔雀が鍵係で無くなることはこの学校の中にいる限り、仮定することすら出来ないことだ。孔雀は鍵をそのまま鞄に放り込むと、いつものように斑の家へ向かった。

 ベルを鳴らすと、野暮ったい学制服を早々と着替えた斑が出てきた。ふと違和感を覚えて彼を見たら、彼は微笑んだ。孔雀は違和感の正体に気付いて背中が冷たくなった。なぜなら彼の顔は歪に形成されていたからだ。丁度、頭蓋の口から上と口から下が別の生物であるかのようだ。有り得ない動きが酷く吐き気を誘う。それはもしかしたら凄く些細な歪みだったのかもしれないが、気付いてしまうともうそれはそんな風にしか見えなかった。孔雀はこの少年は斑ではないのではないかと思った。けれど、少年の髪色はまさしく斑のそれだった。

 「やあ孔雀、今日も来たのかい」
「今日はシガレットを持ってきたんだ」
「・・・何処で手に入れたの」
「父の書斎さ」
「でも、レモン水をもう用意してあるんだ。それは後でのお楽しみにしよう」
孔雀はいつものように硝子椅子に腰を落ち着けると、光を掴もうと机の下で手を握り締めた。斑はいつもと同じように、洒落たコウスタアを恭しく敷くと、グラスを静かに置いた。レモン水の味も何もかもがいつもと変わらなかった。唯一つ、斑の顔が歪なままであったこと以外は。
 
 街の中で道路を歩いていると、一人の少年に声を掛けられた。孔雀は少年の顔を見て驚いた。少年は斑の顔をしていた。無論、歪なところなど何も無かったし、笑顔も自然だった。その少年の服はぼろぼろで、肌は汚れていた。それでも、斑に良く似ていた。
「孔雀・・・、僕が分かるよね。斑だよ。誰も僕に気付かないんだ。あいつ等でさえも。でも孔雀、君なら分かるだろ」
けれど、彼の髪色は少し茶が混じっていた。それに痛んでいる。これは斑ではない。孔雀がそう思ったことを知らずに、少年は何かを必死に訴える。
「悪いけど、人違いじゃないかな。僕は君なんて知らないよ」
少年は信じられないといった表情のまま、呆然と立ち尽くしていた。
 
 「孔雀、今日は少し遅かったな」
「途中知らない人に足止めを喰らってね。妙に馴れ馴れしかったから気持ち悪くって逃げてきたよ」
「それは災難だったね」
 
孔雀の日常は今日もいつも通りだ。



Eoanthropus[エオアントロプス]
1910年代にイギリスで発見したと称された贋の原人化石で、50年代に現代人の頭骨とオランウータンの下顎骨とを組み合わせたものだと判明した。

eonism[エオニズム]
服装倒錯のこと。男性が女装、女性が男装したがるという性的倒錯の一種。

lamella[ラメラ]
薄い層状のもの、ひだ状のもの。葉緑体内にある膜状の構造。

cigarette[シガレット]
タバコ、紙巻きタバコ。
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